------ 前書き ------
 
はい、愛佳誕生日記念SSです。誕生日とは直接関係ない話ですが(笑
 
シナリオ、キャラ共に私のTH2ベスト3に入る愛佳。これが初めてのSSになるので
書いておきたかったんです。彼女が生まれた日の記念に!
 
愛佳ルートの五月初め〜中旬のパラレルワールドの物語だと思って下さい。
彼女のやさしさ、思いやりを描いた、ほのぼの作品となっております。
もちろん、PS2版準拠ですよ。
 
それではBGM「春の日和の野原の寝顔」を----日〜だまりの中〜♪ や〜さしく…
はい、物語スタートです!!

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 『 妹 』
 
 
 
 
 
 
 
カリカリカリ……。ん、これで終わり、と。
 
みなさんこんにちは、小牧愛佳です。
 
ここは放課後の教室、私は今、学級日誌のチェックを終わったところです。
クラス委員長としての仕事でもあるんですよね。
 
今年もクラス委員長に選ばれてしまった私……や、去年は副委員長だったん
ですけどね。
新学期のホームルームでは、ほぼ満場一致で選出されてしまいました〜……。
たかあきくんまで挙手するんだもの……。
 
あ、たかあきくんっていうのは、一年からの同じクラスメートです。
最近色々と手伝ってくれている、やさしい人なんですよ。
私が一人でやっていた書庫の整理の手伝いとか、二年になってからは、
その……お互い異性に慣れるための手伝いとか……。
 
この間の私の誕生日には、初めてのデートまで……って、やだ……デ、デート……。
……とっても、楽しかったな。
 
そして、今までで一番嬉しかったプレゼント。あなたがくれたプレゼント……。
たかあきくん……本当にありがとう。
 
 
ふと、私は彼の席を見る。……あ、もういない。
ひょっとして、書庫の方に先に行ったのかも。早く先生の所に行って、私も向かわなきゃ。
私は教室を出て、職員室に向かった。
 
 
 
 
 
 
 
何かしら……?
 
職員室から教室に戻ってくると、後ろのドアからクラスを覗いている女の子がいた。
髪の両側を桜の花びらのリボンで結んでいるかわいい女の子だ。一年生かな?
あれ? 確かあの子って……。
 
「誰か、探してるんですか?」
 
私は後ろからやさしく声をかけた。
 
「はわわっ!? は、はい……えと……」
 
ちょっと驚いた感じでこちらを振り向き、何かモジモジしている女の子。
あ、やっぱりこの子はいつも良くたかあきくんと一緒にいる子だ。
 
「ひょっとして、たか……河野くんを探しているの?」
 
「えっ!? どうして……? あの……」
 
「私はこのクラスの学級委員長の小牧愛佳と言います。え〜っと……」
 
「あ、私は一年の柚原このみです。えと……それで、どうして私の事?」
 
「河野くんとは良く一緒に登下校してますよね? お昼とかも一緒にしている事が
多いみたいだし。だから、探しているのかな、って」
 
「は、はい……そうなんですけど……。いないみたいですね……」
 
ションボリとうなだれるこのみちゃん。
 
「ひょっとして、河野くんは書庫の方にいるかもしれないから……良かったら
一緒に行ってみる?」
 
「は、はい!」
 
パアッと表情を輝かせて、元気一杯に返事をするこのみちゃん。
本当に素直でかわいい感じの女の子だな。
 
私達は一緒に書庫に向かった。
 
 
 
 
 
 
 
書庫の前には、たかあきくんはいなかった。
でも、図書室の方から入ったかもしれないから……。
廊下側のカギを開けて、私達は中に入る。 ……やっぱり来てないみたい。
 
「ほわ〜……」
 
このみちゃんは、初めて入る書庫の雰囲気に呑まれている様だ。
ふふっ、たかあきくんも同じ様な反応だったな……。
 
「もうちょっとしたら来るかもしれないから、良かったらそこのソファーに
座って待っててね」
 
「は、はい」
 
このみちゃんを座らせると、私は奥の方にお茶を入れに行った。
あの子には何がいいかな? あまり強いのやハーブがきついのは合わなそうだから……。
 
私は甘めのミルクティーを入れると、このみちゃんの所へ持って行った。
 
「はい、どうぞ。もし甘さが足らないようだったら、シロップもありますよ」
 
「……ど、どうも……。あ、美味しい……」
 
良かった、気に入ってもらえて。
温かい飲み物を飲んで、緊張も少しずつほぐれてきている様だ。
でも、その瞳からは、まだ寂しさの陰が消えていない。ちょっと、聞いてみようかな?
 
「あの〜、ひょっとして、河野くんの事で何か心配事があるの?」
 
一瞬ビクッと体が揺れる。そして、浮かない顔……やっぱりそうか。
 
「私で良ければ相談に乗りますよ。クラス委員長だし、河野くんの事で知っている事は
教えてあげられると思うし」
 
戸惑ってはいたが、ため息をつくと、すがる様な感じでこのみちゃんは話し出した。
 
 
「最近タカくんが冷たい気がするんです……」
 
へぇ……たかあきくんってタカくん、って呼ばれてるんだ。
 
「一緒に帰ろうと思っても、教室にいないことが多いし……」
 
ギクッ!? それって、ひょっとして私のせい……?
 
「で、でも朝とかは一緒に登校しているんでしょ?」
 
「は、はい。いつも私を迎えに来てくれます。このみが心配しすぎなのかな?
小さい頃からタカくんとはずっと一緒だったから……」
 
「二人とも、仲がいいんですね〜」
 
「はい! 幼なじみで家も隣です。いつもお泊りさせてもらっているし、この間は
ベッドで一緒に眠ってもらったし……」
 
ええっ!? お泊り!? 一緒に寝る!? お、幼なじみってそれが普通なの!?
 
「タカくんは、良くここに来てるんですか?」
 
「え……!? や、や……えと……最近は……そこそこ……かな?」
 
い、いけない。何か私、動揺してる。
 
「ここで何をやってるんですか?」
 
「パソコンに入力したり、バーコードを張ったり……本の整理ですよ」
 
「そっか、それでタカくんが手伝ってるんですね。タカくん、やさしいから」
 
そう言って見せた、このみちゃんの柔らかな笑顔。
この子は、本当にたかあきくんが好きなんだな……。
 
それから30分程、このみちゃんと雑談をしていたけれど、たかあきくんは現れなかった。
 
 
 
「あっ、だいぶ時間をとっちゃいました、ゴメンなさい。タカくんは来ないみたいだし、
私は帰ります。色々と話を聞いてもらって、ありがとうございました」
 
「ううん、気にしなくていいですよ。私も、それとなく河野くんに聞いておくから」
 
「はい! ありがとうございます。それじゃ〜」
 
「はい、またね」
 
このみちゃんは元気に帰っていった。
それにしても少し困っちゃったな……。良く考えたらこれって恋愛相談だし、
しかもたかあきくんの事だし……。明日にでも聞いてみようかな?
 
 
 
 
 
 
 
次の日の放課後は、たかあきくんは書庫にやってきた。
 
「ゴメンな、愛佳。昨日は雄二に捕まってしまって……」
 
「ううん、たかあきくんにも都合があるから……」
 
本の整理をしながらも、私は昨日の事が気になっていた。
うん、思いきって聞いてみよう!
 
「ね、ねえ、たかあきくん。昨日ね、柚原さんが来たんだけど……」
 
「えっ!? このみが!?」
 
「や、私が来ないかって言ったの。たかあきくんを探していたみたいだったから。
何かね、最近たかあきくんが冷たいって言ってたよ」
 
「はい? 俺が? 何言ってんだこのみは? いつもと変わらないだろ」
 
心外だという顔のたかあきくん。そうだよね、いつも仲がいいもんね……。
 
「それと、聞いたんだけど二人とも仲がいいんだね。お泊りしたりとか、ベッドで
一緒に寝たりとか……」
 
「な・・!? そ、それは……」
 
「たかあきくん……嬉し恥ずかしイベント……ドキドキ☆タイム……」
 
「愛佳、何ぶ厚い辞書を手に取ってるんだ……」
 
はっ!? いけない、私ったら無意識に……。
 
「とにかく、そんなんじゃないから……。大体そんなのなら……(愛佳がイスで
居眠りしていた時の方がよっぽどドキドキ……)」
 
「え? 今、たかあきくん何て----」
 
「い、いや、とにかく! このみは俺にとっては妹みたいなもんだから!!」
 
「妹?」
 
「そう、前にも話をしただろ。確かに、俺にとってこのみは大事な存在だけれども、
それは妹としてだよ」
 
 
妹……大事な存在……そっか。
 
 
「……だったら、もっとやさしくしないとダメだよ、たかあきくん」
 
「あ、ああ……分かってるけど……。どうかしたの、愛佳?」
 
「ううん、何でもないですよ。じゃあ約束ね」
 
「……?」
 
よぉ〜し! それじゃあ----
 
 
 
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「河野くん、ちょっといいですか?」
 
次の日の昼休み、昼食をとりに行こうとした俺に、愛佳が声をかけてきた。
 
「ああ、別にいいけど。何? 小牧」
 
愛佳は周りを気にしながら、小声で聞いてきた。
 
「あ、あの〜。明日、書庫に手伝いに来れますか?」
 
「明日? 今日じゃなくて?」
 
「はい、今日は用事があるので書庫には行けないんです。だから、明日来てくれると
助かるな、って思って……」
 
「うん、今のところ用事はないし、行けると思うよ。いや、必ず行くようにする」
 
「ありがとうございます〜。それじゃ……」
 
ホッとした表情で、後ろ向きのまま愛佳はスススッと教室を出て行った。
アイツも変なところで素早いよな……。
それにしても、ドアを出る間際に見せた、ニンマリとした笑みが気になったけど……。
ま、いっか。
 
 
 
 
 
 
 
次の日の放課後、愛佳に先に行っててくれと言われた俺は、書庫に向かった。
それに、今日はもう一人手伝ってくれる人が来るそうで、その人はもう先に
書庫にいるはずだとも。
 
「でも、誰なんだろう?」
 
ガチャ----
確かにカギはかかっていない。もう中にいるみたいだな。
 
「失礼します」
 
俺はドアを開けて中に入る。そこで待っていたのは----
 
「いらっしゃ〜い、タカくん!」
 
満面の笑みを浮かべたこのみだった。
 
「こ、このみ……お前どうして……?」
 
「あのね、愛佳さんがね、今日手伝ってくれって」
 
 
……やられた。そういう事か、愛佳のやつ……。
 
 
「あ、タカくん、それとね、今日はこのみの手作りのお菓子もあるんだよ。
楽しみにしといてね」
 
「お前な〜、遊びじゃないんだぞ。分かってんのか?」
 
「もちろんでありますよ隊長! さっそく作戦に移るであります!!」
 
「はいはい……」
 
やれやれ……。本当に愛佳はおせっかいだよな。アイツには姉妹はいないって
言ってたけど、もしいたら、きっといいお姉さんになっていただろうな……。
 
 
 
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「……ふふっ♪」
 
「何、どうかしたの? お姉ちゃん」
 
「ううん、何でもないよ、郁乃」
 
「ふ〜ん、変なお姉ちゃん……」
 
病室のベッドの横で、郁乃のためにリンゴを剥いてあげながら、書庫の二人の
事を考えていた。
今日は、このまま学校に戻らないでおこうかな……。カギはこのみちゃんに
預けてあるし。
 
 
妹……大事な存在……そして、二人が仲良くいられる事。
それは、私も望んでいる事……。
 
 
たかあきくん、今日はうんとやさしくしてあげてね、お兄さんとして。
 
さ〜て、色々心配事はあるけれども、お姉ちゃんも頑張るからね……。
 
春の陽気が心地よい病室の中で、私は郁乃を見ながら心の中で誓っていた。
 
 
 
 
 
 
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------ 後書き ------ あーなーたーへーとーどーけ、マイハ〜ト…♪ で、物語終了なのデスが……。 (この物語を試読した友人Tと私の会話) 「どうよ、T、いい感じじゃね?」 「……俺、何かこれ読んだ様な気がするんだけど……。あ、この本……」 「…………ブッ!? か、被っ……うわ……!」 「……パクリ?」 「いやいやいや! 全く知らなかったって!! 細かい所違うだろ!!!」 ……本当に知らなかったんデス。アラ探しはご遠慮下さい……。 SS書きのプライドにかけて誓いますので。 これだけ二次作品があったら仕方ないよね……? 自分としては、非常に気に入った作品であり、ボツに出来ませんでした。 生暖かい目で読んでいただければ幸いデス。 ご意見・感想等、掲示板の方にいただけると嬉しいです。 by HIRO


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