------前書き------
大好きなロボ3姉妹。シルファのお話しです。
本編未登場のキャラでもあり、チャレンジしてみました。
場面設定は、PS2版姫百合シナリオの1年後の春になっています。
ジャンルは、ほのぼの+ギャグ。
シルファってこんな感じかな〜みたいな話です。力を抜いて読んでいただければ。
では、本編へどうぞ。
 
 
 
 
 












 
 初めてのお泊り
 
 
 
 
 
 
「ピンポーン」
 
おっ、来たかな。
学校から帰ってリビングでくつろいでいると、チャイムが鳴った。
「はーい。今行きます」
返事をして足早に玄関に向かう。ドアのすりガラスには見覚えのある影。
俺は鍵をあけて、ドアを開いた。
 
「こっ、こんにちはっ。パパ。よろしくお願いします」
緊張した面持ちであいさつをする彼女。
俺はやさしく笑顔で答えた。
 
「いらっしゃい。シルファ」
 
 
 
   short short story
『 はじめてのお泊り 〜パパといっしょ〜』
 
 
 
「よく来たね、シルファ。ここまでの道は大丈夫だった?」
 
「いつもミルファお姉ちゃんと来てたから。周りの人も親切に教えてくれたし。
でも、やっぱりちょっと怖かったけど…」
 
ペロッと舌を出してはにかむ。
 
 
ブロンド髪の三つ編みおさげがかわいい彼女は、HMX17-c、シルファ。
イルファさん、ミルファの妹にあたるメイドロボットだ。
 
去年の秋頃やって来た時は、かなりの珊瑚ちゃんっ子だったシルファ。
そのため始めの頃はかなり嫌われたものだった。
----- それはもう以前の瑠璃ちゃん以上に。
 
しかし、ある一件をきっかけに和解、というか、完全になつかれてしまった。
 
「パパ」というのは珊瑚ちゃんが「ママ」だからだそうだ。
初めは恥ずかしかったけれど、今ではすっかり慣れてしまった。
 
まあ、そう呼ばれても違和感がないのは、それだけシルファが純真でいい子だから。
本当に、3姉妹の良心だよなぁ。
娘を持つ父親の気持ちって、こんなものなのかも。
 
 
 
 
ちなみに私、河野貴明と姫百合家の生活状況を申し上げますと
 
・週末、もしくは次の日が休みの時は姫百合家のマンションに泊まる
・その他の日はミルファが通いで朝ごはん〜夕食の片付けまでする
・イベントがある時は基本的にみんなで祝う
 
このようになっております。
 
この他にも、ミルファがメンテの時はイルファさんがかわりに、
という案もありましたが謹んでお断りさせていただきました。
何事にもストレートな気質のミルファからは身を守れても(ギリギリだけど)
策士イルファさん相手では自信がありませんので…。
 
 
さて、話しを戻そう。
 
シルファが家に来ているのは一応メイドロボットとしての研修のためだ。
おととい珊瑚ちゃんから、週末マンションに来るかわりに、シルファを
預かって欲しいと頼まれた。
そろそろ一人でいろんな経験を積ませたいから、ということだった。
 
それと、急遽ミルファがメンテに行かなければならなくなり、都合がいいからとも。
え、何の関係があるのかって?
ミルファがいたら、そんな事許すはずがないから。
 
「それなら私も泊まる〜!!!!」
 
赤髪を振り乱し、ダダをこねるであろう事は想像に難くない。
 
 
ちなみに、今朝瑠璃ちゃんには
「貴明の、うらぎりものぉ〜」
と暗い顔でにらまれた。
 
そう、今日は誰も彼女を止めるものはいない----イルファさんを。
 
 
「瑠璃様、今夜は楽しみですね。もう、私、あふれそうです。はぁ…」
 
これが出かける時に言われたセリフだそうだ。
瑠璃ちゃん、ゴメン。俺は力になれない………ナム。
 
 
という訳で、特に断る理由もないのでシルファを預かる事になったのだ。
 
 
 
 
「パパ、今日は何か食べたい物がありますか?」
一通り掃除を終えたシルファが聞いてきた。
 
「う〜ん、特には…。そうだ、シルファにお任せするよ」
 
「シルファにお任せ…うん!がんばる!!」
グッと拳を握って力んでいる姿がかわいい。
 
「あの、えっとね、パパ」
モジモジしながらシルファが聞いてくる。
 
「できれば…その…一緒に…」
 
ああ、そうか。
 
「一緒に買い物に行こうか?」
俺はやさしく言うと、頭をなでてあげた。
 
「うん。えへへ…」
シルファはとろけそうな表情をしている。
 
「パパ……大好き」
 
…今なら雄二の気持ちが分かる気がするなぁ。
 
 
 
 
「はい、どうぞ。いっぱい食べてね」
 
買い物から帰り、シルファが作ってくれたのは、みそ汁と肉じゃがだった。
シンプルなメニューだけれど、見た目は美味しそうだ。
 
「ねえ、早く、早く」
「じゃあ、いただきます」
食べて食べてビーム全開のシルファに急かされて、料理を口に運ぶ。
 
……うまい。
 
今では上達したが、初めの頃のミルファと比べても、ずっと美味しい。
正直、ちょっと意外だった。
 
いつも料理を作っているのは、瑠璃ちゃん、イルファさん、ミルファ。
その間、珊瑚ちゃんや俺と遊んだり、大好きな編み物をしている姿しか見ていなかったから。
 
「ど、どうかな」
少し考え込んでいる俺に、シルファは不安げに聞いてきた。
 
「いや、ビックリした。すごくおいしいよ」
 
その言葉を聞いて
「やったぁ!」
小さくガッツポーズ。シルファは本当に嬉しそうだ。
 
「いつもは瑠璃様やお姉ちゃん達がパパに作っているから…
早くシルファの料理を食べてもらいたかったの」
 
「…いっぱい、練習したんだよ」
 
そうか、きっといつもはみんなに譲ってたんだな。
努力家だし、本当にいい子だ、シルファは。
 
 
「メニューはね、イルファお姉ちゃんに教えてもらったの」
「肉じゃがは男の人に作る基本料理なんだよね」
 
…いや、まあ、否定はしないけど。イルファさん…。
 
 
「みそ汁はどうかな?パパ」
「えっ、ああ美味しいよ」
 
「本当に?毎日でも飲みたい??」
「うん、シルファの作ったみそ汁毎日飲みたい」
 
 
「えへへ…。パパにプロポーズされちゃった…」
 
 
…あの〜イルファさん。変な知識を教えるのは止めて下さい…しかも古っ。
 
 
刻は進んで ----
「パパ〜。お風呂あがりました」
「ああ、早かったね…ってシルファ!?」
 
「どうかしたの?」
「どうかしたのって…そのカッコ…」
 
「湯上りの男物のシャツは基本なんだよね」
 
 
 
 
 
 
……………って
 
う ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ い !!
 
 
本日のイルファ爆弾のご紹介でした。
 
 
 
 
 
何だかんだでもう就寝の時間。ムダに疲れた気がするなあ。
 
 
「パパとおやすみするの初めて。うれしいな」
 
本当は別々に寝るつもりだったんだけど、うるうる攻撃に負けてしまった。
某CMじゃないけれど、あの瞳には敵わない。
シルファって子犬チックだよな。
まあ、こうなる事は何となく想像できたからいいんだけど。
 
 
「ママみたいにほわほわしてないけど、何か…いいな」
 
ベッドの中で俺の腕に抱きつきながらシルファは甘えている。
 
 
心はまだ子供だが、体は俺達とそう変わりないシルファ。
だけど、不思議と心は落ち着いている。
 
ある意味、一番家族って呼び方に近いのはこの子なのかも。
 
俺の、そして姫百合家の子供として……。
 
 
「う〜ん…パパ、おやすみなさい」
 
「おやすみ、シルファ」
 
 
 
 
 
 
 
〜おまけ〜
 
次の日の朝------
 
ドドドドド    バンッ!!
 
「な、なんだ!?」
 
開け放たれたドアの向こうには----ミルファが、炎のオーラを吹き上げていた。
そしてその炎は、ベッドの上の俺とシルファを見て更に燃え上がる。
 
 
「た・か・あ・き〜………」
 
 
あ、あの…。
 
 
「これは、どういう事かな〜」
 
 
い、いや、その…。
 
 
「虫の知らせがしたんで無理やり帰ってみれば…」
 
 
む、虫の知らせって……D. I. A. って凄いね…。
 
 
「私、お泊りなんてさせてもらってないよね」
 
 
………もうダメかな。
 
 
「貴明の ------ 」
 
 
………それでは皆さんこの辺で。
 
 
「バカーーーーーーーー!!」
 
 
…合掌。
 
 
 
 
 
 
 


 お客様の小説に戻る

------後書き------ いや、まあ、なんというか。先に謝っておきます(笑)。 思いつきと、勢いで書いてしまった作品です。 読んでいただいた方すいません。 そしてゴメンよ、イルファさん。 ミル・シルのイメージについては ミルファ→綾香  シルファ→マルチをベースにアレンジしています。 特にミルファはポスターを見た時に、綾香!?(口元で)と速攻で思いました。 もしご要望があれば(ないか)、3姉妹のちゃんとしたのを書いてみたいです。 さて、私のシルファはこんな感じでした。少しでも共感していただけると幸いです。 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。 もしよろしければ、掲示板の方に感想をいただけるとうれしいです。


感想、誤字、脱字などありましたら作者へのメール、または掲示板まで





inserted by FC2 system