ピピピピピピ。

目覚ましの音。

カチッ

うるさいアラーム音を素早く止め、文字盤を見る。

「ん〜? なによ〜、まだこんな朝早いじゃないの〜、んもう、なんでこんな時間にセットしてあんのよぅ〜・・・・・・おやすみぃ〜・・・・・」

あたしの意識は・・・再び闇の世界へと戻っていった。









「・・・んっ?」

カーテンの隙間から差し込む朝陽が目を捕らえ、ふと目が覚める。

「あれ・・・あたし、目覚ましセットしておいたはずなのに・・・鳴らなかったのかな?」

そうして何気なく時計を見ると、

「げっ?!!! し、7時半?!!!」

5時にセットしたつもりが、いつの間にか、2時間半も過ぎていた。

もしかしてあたし・・・無意識のうちに、目覚まし止めちゃったとか?

寝起きの悪いあたしがたまにやる癖。

さ、最悪・・・よりによって、なんで「今日」なのよ・・・。










あれは、昨日のこと。

朋也「いやぁ〜、杏の手料理はいつ食ってもうまいぜ、うますぎ」

杏「ちょ、そんなに褒めないでよ〜、照れるじゃない〜///」

朋也「いや、マジだって。 まあ、そう考えると俺って幸せ者なのかな? こんなうまいもんを毎日食えるんだからよ」

杏「もう朋也ったらぁ・・・よ〜し、明日はいつもよりうんっと奮発して作ってきちゃうねっ」

朋也「おっ、それは楽しみだな、期待してるぜ」

杏「まっかせなさいって♪」









それを今、思い出した。

ど、どうしよ・・・朋也のお弁当・・・。

今から作ったのでは、到底、HRには間に合わない。

かといって、このまま何も持ってかないわけにもいかないし・・・。

と、頭を悩ませるあたしの目に飛びこんだのは、壁にピンで留められてるクラスの時間割表。

「?! そうよ、確か今日はっ!」

もの凄い勢いで立ち上がり、表へと目を凝らす。

「やっぱり・・・・・・うふふ、これで大丈夫」

勝ち誇ったような笑みを思わず浮かべてしまう。

待ってなさい、朋也・・・今日もあたしの愛情た〜っぷり弁当を食べさせてあげるから♪











SWEETな二人












昼休み、屋上にて。

「なに、これ?」

俺は彼女、藤林杏から受け取った弁当箱の中身に困惑していた。

「何って、お弁当よ、お・べ・ん・と・う」

「なんか、いつもとは感じが違うような気がするんだが・・・」

「そ、そんなことないわよぅ〜、今日も朋也のことを思って愛情っていうスパイスをた〜っぷり入れておいたんだから〜」

「・・・・・・・・」

「なによ〜?」

「お前さ・・・何か隠してる?」

ギクリ

俺の言葉に杏の肩がビクッと震える。

「その反応するってことは、やっぱ・・・」

「あ、あたしが何を隠してるっていうのよ〜・・・」

「いいや、隠してる。 その証拠に、目が泳いでるしな」

「〜〜〜〜〜〜」

何も言い返せないのか、顔を真っ赤にしながらしどろもどろする杏。

おもしれえ・・・こんな杏久々に見たし、ちょっとからかってやろうか・・・。

「なあ、杏・・・俺たち、お互いに隠し事はなしって約束したよな・・・俺はこんなにも杏のことを思ってるのに・・・それでも話してはくれないのか?」

寂しそうな顔を向けながら、俺は杏に尋ねた。

なんか、台詞が微妙に臭くなってしまった気はするが、まあ気にしないでおこう。

「うぅぅ・・・・・そんな目で見ないでよ、朋也ぁ〜・・・・・・」

杏は、女の子がよくやる例の、右手を口元に当て、うるうる目で俺のほうを見つめる。

可愛い・・・。

こんな顔されたら、男で正常心を保ってられる奴などいない。

つうか、杏の新しい魅力を発見できたって感じだな。

と、俺が優越感に浸っている間、杏はうーうーと唸りながら、考え事をしていた。

「もう〜、わかったわよう〜・・・話せばいいんでしょ、話せばっ!」













2時間目終了後。

「杏〜、次の家庭科の調理実習、頑張ろうね〜」

クラスメイトがそう告げると、準備のためか足早に教室を去っていった。

ふふ・・・そうよ、あたしったら今日はこれがあることをす〜っかり忘れてたわ。

作るものは各自自由だったはずだし、調理実習だから2時間の猶予が与えられる。

必要な材料は全部家から持ってきたし・・・これでゆっくりと朋也のお弁当を作れる&授業にもちゃんと出席できるってわけ・・・まさに一石ニ鳥、

う〜ん、あたしってツイてる〜♪

あ、そうだ、これも忘れないで持っていかないと・・・。

あたしが鞄から取り出したのは、いつも朋也の弁当を詰めてる箱。

さすがにお皿に盛ったまま持っていったら、一発でバレちゃうしね・・・と、そろそろいかないと遅れちゃうわ。

頑張るぞっと気合いを入れると、あたしも教室を後にした。













「なるほどな・・・道理で飯がいつもより、温かく感じたわけだ」

「あははは・・・さっきまで作ってたからね、できたても同然よ」

「けど、俺と付き合いだしてからはお前、寝坊したことあったっけ?」

「そういえば、ないかも・・・まあ、その・・・」

「その?」

「その・・・だ、大好きな朋也のために、いつもおいしいお弁当作ってあげたいしさ///」

「・・・・・・・・」

今、なんかすんげえ恥ずかしいこと言われた気がするぞ、おい。

「お、俺もなんだ・・・杏のこの愛情の篭もった、愛妻弁当を毎日食えて、嬉しいぞ・・・」

って、いったい何を言ってるんだ、俺はーっ!!!

「あ、愛妻ぃ〜〜っ?!!!」

「す、すまん・・・つい口が滑っちまった・・・けど」

「けど、な、何よ?」

「それだけ今は、杏を愛してるってことだな」

「〜〜〜〜〜〜」

ボンッという湯気が杏の顔から立ち上がる。

「あ、あた、あたしだって今は・・・朋也のことしか見えないんだからねっ!」

「ぐはっ!!!」

いきなり何てことを言うんだ、マイ・ガールフレンド!! クリティカルヒットだぜ、今のはっ!!!

「「・・・はっ」」

目が合ったので、反射的に二人同時に、顔を背ける。

「あ、ありがとな・・・杏」

「う、うん・・・」

杏は、まるでサウナから出てきた時のように、これでもかというくらい、顔を赤く染め上げている・・・そのまま、茹蛸にならないか心配なくらいだ。

かくいう俺も、恥ずかしさのあまり、悶えそうだ・・・杏が目の前にいなかったら、間違いなく悶えてるな、うん・・・。











「ふぅ〜、食った、食った」

「やっぱ、青空の下で食べるご飯っておいしいわよね〜」

ようやく昼食タイム、終了・・・と、思いきや。

「ね、ねえ、朋也・・・?」

「あん?」

「あのさ・・・まだ昼休みの時間残ってるし、少し、休まない?」

「いや、今、こうして休んでるだろ・・・」

「そうじゃなくて、その・・・あたしが膝枕してあげよっか?///」

一瞬、思考回路が停止する。

「・・・はい?」

「だ、だからあたしに膝枕してもらいたいの、してもらいたくないの、どっちっ?!!」

照れを隠すように、いきなり逆ギレする杏。

これは願ってもない大チャ〜ンス! 男に生まれた以上、誰もが夢みるこの行為を・・・今、杏が・・・。

「いや、嫌じゃないよ、むしろ・・・お願いします!」

そう言って、俺は潔く頭を下げていた・・・端から見ると、アホ丸出しの光景に見えないかと思うくらい。

「じゃ、じゃあはい、ここに頭乗せて」

そう言いながら、杏はパンパンと自分の膝元を叩く。

ぶっ!!!

俺は思わず、変なところへ目線を走らせてしまった。

だって、そんな格好をされては・・・。

膝枕をするため、きちんと正座をしている杏。 しかも制服姿、ということは・・・

「嫌でもそこに目がいっちまうじゃねーか、この野郎ーっ!!!」

「ちょっ、いきなりわけわかんないこと言わないでよね、朋也っ!!!」

「いや、何でもない・・・つうわけで、頼むわ」

俺はやっとのこと、杏の膝元に頭を乗せる。

てか・・・俺ってこんなキャラだったっけ?

「どう?」

「ああ、すごく落ち着く・・・」

このまま眠ってしまいそうなくらい、杏の膝元は温もりに満ちていた。

「・・・今度は、耳掃除してあげようか?」

「へ? でもお前、めんぼうとか持ってんのか?」

「そんなのいらないわよ」

「いらないって・・・じゃあいったいどうやって・・・」

俺がそう思った瞬間、

「ふうぅぅ〜〜っ」

杏が俺の耳に向かって、息を吹きかけていた。

?!?! な、なんだ、今のは・・・?!

「へへぇ〜、これじゃ、ダメかな?///」

見ると、杏がバツの悪そうにはにかんでいた。

「杏・・・・・お前、最高」

「え、えへへ、そう?」

「てことで、も一回、頼む、今度は左耳に」

「もう〜、しょうがないわねぇ〜・・・じゃ、あと一回だけよ」

ふうぅぅ〜〜っ

俺・・・このまま死んでもいいかも・・・。

















帰り際、杏はいつものように俺の腕に抱きついて、歩いていた。

「杏・・・昼の時は、ありがとな・・・」

「むっ、スケベ・・・」

「そういうんじゃなくてさ・・・俺のことそこまで思ってくれてるのかなあって思うと、ちょっと嬉しかった」

「あんなのでよかったら、いつでもしてあげるわよ♪」

「マジかっ?!」

「うっそ〜(ニヤリ」

「て、ウソかよっ?!」

「まあ、毎日ってのはさすがに・・・・・けど、その・・・たまになら、いいわよ・・・朋也のためだもん

「ん、何か言ったか?」

「なんでもな〜い、えへへぇ〜♪///」

そう言って、更に俺の腕を強く抱きしめてくる杏。

「朋也・・・」

「なんだ?」

「好きだからねっ」

あの時と・・・同じ言葉。

「ああ、俺も杏が好きだ」

「むぅ・・・あたしのほうが何倍も朋也のこと好き〜」

「いやいや、俺はそれ以上に杏のことが好きだぞ」

「あたしは地球が破滅したって、朋也のこと愛してるわ」

「俺だって、宇宙が破滅したって、お前のこと愛してるぞ」

「あたしよっ!!」

「俺だっ!!」

そうしていつものように、いがみ合った後・・・

「ぷっ・・・」

「くくっ・・・」

「「あははははっ!」」

二人して笑い合った、心の底から。

端から見れば、俺たちは超がつくほどのバカップルだろう、けど・・・

「よし、行くか」

「うんっ」

俺たちのこの絆は切っても切れないものになりつつある・・・そう感じていた。


















(あとがき)

はいはいはいはい、滑りましたよ(マテってか古い

というわけで、妙にハイテンションのMohawkですw

まあ、こんなSSを書いた後ですからね、テンションが下がるわけもなく・・・w(ぉ

今回の目標は一応、あまあまでしたが、いかがでしたでしょうか?

即興で書いたので(というかいつもろくな構想など練ってはおりませぬが)、思いついたネタをポンポンと入れましたが、後半の膝枕だけは絶対入れ
たかったですねw(ぉ

朋也が少し壊れ気味になってるのは、まあ、あまの特性ということで、ご了承くださいませw(マテや

それでは短いですが、この辺で失礼します。 というか、これ・・・参考になってるのかな?(汗




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