前書き:
この作品は、このみの必殺カレーに隠された謎に迫ってみたギャグタッチSSです。
設定上激しくこのみが壊れていますので、このみファンは見ない事をお勧めします。 

 


 
 
 
必殺カレー

原作:To Heart2 作:Suzutaka 
 
 
 
 
 
 
 


 

必殺カレー。
それはこのみのお袋さん、つまり春夏さんがこれまた同じくこのみの親父さんに
告白させるきっかけとなった春夏さん特製のカレーのことだ。
日本において、手抜き料理としてまたはジャンクの代名詞としても有名なあのカレーを、
いったいどんな手品を使えばプロポーズまでさせる気にすることができるのか、
今後の人生の為にぜひともご教授願いたいものだ。
その夜、まさか俺自身で体験することになろうとは、この時思ってもみなかった...。

 

話は、俺が夕食のカップ麺にお湯を注ごうとしたまさにその時、
このみが突然家に来訪したところからはじまる。
「カップ麺ばかりじゃ体に悪いと思ってカレー作りに来たんだぁ」
言うが早いかこのみは俺の意見も聞かずにキッチンに向かっていった。
まあ、正直ありがたかった。三食カップ麺ってのもそろそろ限界だったしな。

そんなわけで、今日の夕食は突如カップ麺からカレーに変更されることとなり、
今俺の前には出来立ての柚原家特製の必殺カレーが湯気を立てている。

「さあ、どんどん召し上がれ〜」

言われるまでもなく俺はがっつくようにカレーに食いついた。
実際このカレーはめちゃくちゃ美味い。それは俺、河野貴明が保障する。
悪いのは名前くらいのもんだ。いや、そもそもなんでこんな名前になったんだっけ?

「それはこのカレーでお母さんがお父さんに告白させたからなんだって」

ああ、そういえば夏春さんがこのみの親父さんに告白させた記念だったなこのカレー。
だからこのみの家じゃカレーは他人様においそれと出すものじゃないらしい。
そう考えると、このみも俺なんかにほいほい食わせていいものなのか?

「遠慮しないで。タカくんにはどんどん食べてほしいの」

それから小さい声で「いつでも好きなときに作ってあげるから」と付け加えた。

嬉しいことを言ってくれる。
ところで、これってもしかして遠回りに告白されているのかな?
……そんなわけないか、このみだし。
だがしかしマジで美味い。このコクとまろやかさはまさに……コクまろ?
それはともかく市販で売り出したらヒット間違いなしだろう。

「ま、その時は名前は変えないといけないだろうがな」

「え、どうして?」

そりゃ、食べる立場で考えて「必殺」なんて銘打った物を食いたくないだろう?
いや、そもそも必殺でなくても他にソフトな代名詞がいくらでもあるだろうに。

「ううん、必殺カレーは必殺カレーだよ」

「いや、だからどの辺が必殺なんだよ?」

「それはねタカくん」

100%不純物まじりっけなしの笑顔で、このみはこう言った。

「カレーに毒を入れたからだよ」

なるほど毒か確かにそりゃ必死だろうなって、うおぉいい!?

「なんで毒なんて入ってんだよ!?」

「だって必殺カレーの隠し味だもん」

毒が隠し味かよ!
だが、ツッコミの声を上げることもできず俺は机に突っ伏した。
体は痺れて全然動かない。だがそのくせなぜか意識だけは鮮明なのが恐怖倍増だ。
そんな俺の無様な様子を、あどけない天使のような笑顔でこのみが見つめている。
なんだこの状況は。いつからToHeartは青春ラブコメからバイオレンスホラーになったんだ!?

「大丈夫。この解毒剤を飲めばすぐによくなるから」

そう言って懐から手のひらサイズの小瓶を取り出す。
そしてニタリではなんく、あくまでニコリという擬音がつきそうな天使のような笑顔で、

「ただし、このみの彼氏になってくれるって約束してくれたらね」

という条件を付けてきた。
これは告白と取るべきか脅迫と取るべきか。
もしかして、このみの親父さんもこうやって夏春さんに迫られたのかな?
それにしても文字どおり必殺カレーだったとはな。名は体を表すとはまさにこの事か。
恐るべし必殺カレー!!

あっ、一応追記しておくが俺の答えは言うまでもないだろう。
まだ死にたくないし。

 

完

 
 
 
 
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